OK、ナイアシンのリックをもうひとつお見せしよう。これはもっと前のレコードからのもので、「エルボー・グリース」という曲だ。どのアルバムに収録されていたかはちょっと失念してしまったので、君の方でチェックしてもらえたらと思う。この曲にはもの凄くやるのが難しいラインがあるんだよ。音符そのものはそれ程難しくはないんだけど、プレイの仕方なんだよね。こういうラインだよ。凄くゆっくりやってみよう。(Play)こういう動きが速くて全体にあるんだ。実際のタイムはこうだね。(Play)これがずっと長く続く。だから手はゴジラの如く強靭でないといけないのさ、こういう大変なラインを弾くためにはね。面白いことに、この曲はもう何年も前に録ったのにも関わらず、僕はウォーミングアップの練習ではこのラインを使っているのさ。僕のライトハンド・テクニックのためにね。だから試しにやってみるのに、とても適切なラインだと思うよ。半分だけでもいいんだ。(Play)手が温まると、ずっとスムースにやれるようになる。なめらかで正確にやれるようになるよ。E弦とA弦の間を交互にやるんだ。(Play)これは左手の音符は抜きでピッキングしているだけだよ。それを可能な限りスムースにやってみるんだ。そしてこういうふうにやる時、(Play)音符はもっと正しくタイムをキープするようになる。正しいテンポでね──ナイアシンにはドラムにデニス・チェンバースがいてタイムをキープしているけど、彼のタイムは完璧なんだ! そして僕もこういうふうに足を動かし続けながら、こうやるのさ。(Play)
 とてもシンプルなラインだけど、これを正しくタイム通りに一貫してやることにより、各音がごちゃごちゃと混ざり合うことなく弾けるようになるためには、かなり練習が必要なんだ。僕も今日の早い時間、ここに来る前にホテルの部屋でこんなふうにやっていたよ。(Play)30分くらいずっと、手を慣らすためにね。ステージでは2倍くらい新鮮にやれるんだよ。観客がいてくれるし、照明があるし、いい感じのプレッシャーがそこにあるから、絶対に正しいタイム通りにグルーヴの中で、偉大なるミュージシャンであるデニス・チェンバースの作るグルーヴの中で音を鳴らす! って気持ちになれる。これは練習するのにぴったりのラインだと思うよ。だから「エルボー・グリース」をチェックしてみて欲しい。ナイアシンのレコードに収録されているよ。どのレコードかは調べればすぐ分ると思う。Google Searchとかで見てみてね。
 そしてこの曲の別のラインには、超面白いのがある。ミドル部分でブレイクがあって…(Play)これらの音符もキーボードで書かれたスタイルのものなんだ。通常ベースやギターでやるのとは違う。だからより頑張って取り組まないといけない。このミドル・ブレイクダウン・セクションをもう一度やってみよう。間違わず出来るかな。(Play)おっと、通常ベースでやろうとはしないことだからね。(Play)こうかな…ちょっと忘れた。ちゃんとやれるように最初からやってみよう。(Play)かなり雑で酷いね。このラインを正確にプレイするためには、もっとウォームアップしないといけないな。そのために僕はバックステージにいるわけだ。では、これをもっとゆっくりやってみようか! (Play)こういうのは普通やらないラインだ…(Play)こうプレイするよ…(Play)こういうノートで…(Play)そしてこうなる。(Play)次はこうかな、(Play)ラインはこんな感じになるんだ。まあ、大体だけどね。
 正直に言うけど──(プレイヤーとは)いつでも完璧なプレイがやれているべきと思っているかもしれないが、でも練習してウォームアップしている時にはたくさんのミスを犯しているのさ。僕もあらゆるミスをやっているよ。僕が完璧にやりたいと思う唯一の場所は、ステージで演奏する時だけだ。完璧とまでいかなくとも、(ステージでは)正確なプレイをやりたいね。だからこんなふうにウォームアップしながら練習していて、ちょっとしたビデオ撮影をしているのは、とてもプライベートな時間なので僕もミスはするし間違った音を出すわ、音を弾き損じるわ…そういうことが起こるのさ。そもそも、そのための“練習”だからね! 正しくやれるまで、とにかく練習を続けるんだ。今晩はDVDの収録があるから絶対良い演奏にしたいので、更にプレッシャーが掛かっているよ! だから自分をよりハードに追い込んで、より優れたプレイを目指しているので、(プレッシャーも)良いことだよ。これらの音符は「エルボー・グリース」という曲からのものだよ。もしよければ是非トライしてみて欲しい。グッドラック!
 こういうのが正確にやれるようになると、自分の楽器のこと──ネックに関して更に深く知ることが出来るよ。ギターにせよベースにせよ、フレットの付いた楽器のね。こういうラインをやることによって。再度言うけど、このラインはキーボードによって書かれたので、ラインを積み上げていく時に違うアプローチを取っているんだ。通常のギター・ラインのやり方ってあるよね? 使いがちな音符とか──オープンEとかEのキーとかね。そしてキーボードっぽいキーだとFとかCとかがある。だからキーボード・パートをやってみるとかなり面白い発見がある。そういうのをベースやギターでやってみると、後になって凄く自分のためになっていることが分かるよ。よりクリエイティブになれるし、自分のやれることのオプションも広がり、音やその音のアプローチの仕方のオプションも増える。僕はキーボードから実に多くを学んできた。オスカー・ピーターソンやキース・エマーソンから始まり、ショパンやドビュッシーのピアノ曲、バッハのハープシコード・パート、ジャズのピアノ・ラインに至るまでね。それらをやることにより、知るべきことはもっとたくさんあるのだと学んだね。フレットだけに釘付けになると、自分のプレイも限られてくる。一方でキーボードを聴くとまったく別の世界が繰り広げられているんだ。(このコラムが)諸君の音楽的視野を広げて、それをどうやってみたらいいのかを理解する助けになり、何か新しいことを知るきっかけになれたら嬉しいね。OK? ビリー・シーンでした。またね。
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