• ウッドマン
  • Playerが販売するドローイング原画

気になるヴァーニッシュ仕様COLLINGS、弾いてみました

 今年の春から東京と大阪のアコースティック・ギター専門店を中心に行われている「2014コリングス・ヴァーニッシュ弾き比べツアー」。異なるフィニッシュのギターを用意し、実際に店頭で弾き比べてそのサウンドの違いを体感できるというユニークなギター弾き比べ企画である。『Player』編集部でも、この2本のギターを弾き比べた試奏を行った。

collings_1.jpg

 「究極のアコースティック・ギター」としてシビアなプロギタリストやヴィンテージ・ギター・フリークから高く評価されているアメリカのギター・ブランド「コリングス」

 今年春からちょっと気になるギター・イベントが各ショップで行われている。

collings_vernish.jpg
 
 「2014コリングス・ヴァーニッシュ弾き比べツアー敢行!」とタイトルされたこのイベントは、コリングスの主力モデルである“D2H”と“D2HV”とをユーザーが楽器店で自由に弾き比べ、音の違いを体験するというなんともマニアックな内容。近年コリングスでは、“ヴァーニッシュ”という伝統的なフィニッシュに力を入れており、その魅力を分かりやすく伝えるためのイベントとして、輸入代理店であるトーラスコーポレーションが企画し、全国の楽器店(1店舗2週間程度)を舞台に行っている。
 
■ これまで試奏できる機会が少なかったヴァーニッシュ仕様モデル
 コリングス・ギターの完成度は、アコースティック・ギター・ファンには広く知られている。しかし、ヴァーニッシュ塗装は基本的にオプション仕様であるため、市販品には採用されていない。また、価格もレギュラー・モデルにオプション価格として32万円が追加されるため、そうそう気軽にお試しもできない。
 現在日本でヴァーニッシュ仕様のコリングスを所有しているギター・オーナーは数十人しかおらず、巷で“とにかく凄いらしい…”という噂ばかりが先行して、なかなか実体が見えてこないのが現状だ。そういう意味では、この2本のコリングスの弾き比べは、コアなギター・ファンにとって何とも気になる内容と言える。
 そこで「プレイヤー」編集部は、その2本のコリングスを試奏したレポートを紹介する。
 
■ヴァーニッシュ塗装とは?
 レポートに入る前に、ヴァーニッシュ塗装について簡単に説明しておこう。
 そもそもヴァーニッシュは、ヴァイオリンなどで使用されているニスによる塗装方法のことで、現在でも一部の弦楽器で行われている。しかし、コリングスが採用しているヴァーニッシュは、シェラック(ラックカイガラ虫の分泌物にアルコール、オイル、樹液などを混合した塗料)と呼ばれる素材をベースとしながらも独自にアレンジしたもので、マンドリンを始め10年近く前から商品化が行われてきた。
 シェラックを使用した塗装は高級クラシック・ギターなどで伝統的に行われ、音に与える影響に関しては歴史的にも証明済みだが、とにかく作業に手間と時間が掛かり、また製品の扱いに注意が必要なことなどから、ギターの場合は現在ごく一部のハンドメイド・ブランドに限られている。
 
collings_2.jpg
D2HVのボディのアップ。トップだけでなく、ボディ全体にヴァーニッシュ塗装が施されているので、ヘリンボーンやバインディングもややアンバー掛かった色あいとなっている。
 
collings_3.jpg
左がレギュラーのD2V、右がヴァーニッシュ仕様のD2HV。
 
■D2H/D2HVの基本スペック
 さて、用意されたギターは、コリングスのD2HD2HVの2本。
 ドレッドノート・デザインのボディは、トップがシトカ・スプルース、バック&サイドがイーストインディアン・ローズウッドを使用したシンプルな仕様。プリウォーのマーティンD-28をリスペクトしたモデルと言えば分かりやすいだろう。
 この2本は、基本的に同じ時期に同じ仕様で製作されたが、ボディのフィニッシュが異なる。D2Hはレギュラー仕様となるUV塗装+ラッカー。D2HVはヴァーニッシュ塗装である。D2HVはヴァーニッシュの影響でややアンバー掛かった色に見える。
 
■D2H(レギュラー仕様)のサウンド
collings_4.jpg
 まず、レギュラー仕様のD2Hを先に試奏した。
 ネックはカマボコ型であまりスリムな印象ではないが安定感があり、ハイポジョンでは逆にややスリムな印象を受ける。ドレッドノートならではの迫力のあるサウンドはリッチでクリア。低音域と高音域のバランスも良く、サステインはやや長め。ドレッドノート・タイプにありがちなハイポジションとローポジションでのトーンやサステインの差があまり感じられない。
 
■D2HV(ヴァーニッシュ仕様)のサウンド
collings_5.jpg
 続いてD2HVを試奏。
 弦高やセットアップを揃えてあるため、弾き心地はほぼ同じ。気になるそのサウンドだが、リッチで躍動感のあるトーンという意味では、基本的に共通した印象だ。
 しかし、その口当たりは確かに異なっている。なかなか表現が難しいが、元気のあるD2Hに対して、D2HVはよりこなれた優しいトーンを備えている。別の言い方をすれば、よりヴィンテージライクとも言えるだろう。しかし、決してウェットなトーンであったり、高音域が抑えられたトーンという意味ではない。充分にブライトでありながら、やや角のとれたトーンである。音量やサステイン、低音域高音域のバランスに関しては、ほとんど違いが感じられない。
 ハンドメイド・ギターには必ず個体差がある。しかし、何度も弾き比べした印象としては、その個体差とは別に仕様(塗装)の違いによるキャラクターの違いが感じられる。これは音の善し悪しではない。フレッシュでブライトなトーンを好むギタリストであれば、むしろD2Hを好む人もいるだろう。しかし、弾き込まれた印象の口当たりの優しいサウンドを好む人であれば、ヴァーニッシュ仕様のコリングスに惹かれる人は少なくないだろう。
 
■試奏を終えて
 もちろん音の好みは千差万別。万人が好むサウンドなど存在しないし、だからこそギターは面白い。しかし“ボディ・フィニッシュの違いだけで、本当にトーンが異なるのか?”とシビアに考える人であれば、この弾き比べはとても興味深いはずだ。
 下記ホームページに弾き比べツアーのスケジュールが掲載されているので、実際にチェックしてみるのも悪くないのでは?
 
2014 COLLINGSヴァーニッシュ弾き比べツアースケジュール
 
 
問い合わせ:株式会社トーラスコーポレーション
Tel.03-3959-3411
 
            

関連記事